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1−5−2 北海道水産業の将来展望
上記のような施策が今後とも進められると考えられるが、北海道の漁業は大局的にみて、将来的には次のような1状況になると予想される。
?@北洋漁業の消減と自国200海里水域内での操業
かつてアメリカなどがとってきたフェイズアウトの考え方が、ロシアでも厳格に行われるようになる。つまり、ロシアで自国漁船の操業技術・能力が高まるまで日本漁船の操業を認め、次第にこれを合弁とし、さらに有償とし、最終的に外国船を排除しようとするものである。こうした流れはかなり進んできており、北海道の漁船が利用できるのは、基本的に200海里水域内に限定されることになる。
?A資源管理型漁業への転換
TAC(漁獲可能量制度)の導入に端的に現れているように、最大持続生産量(MSY)の算定に基づいて、魚種別の漁獲・漁業管理が行われるようになり、あらゆる漁業が資源管理型へと移行する。
この過程で、沖合漁業と沿岸漁船漁業の資源に見合った操業体制が構築されるが、漁船隻数については現状よりもかなり減少すると予想される。
?B量と質を兼ね備えた水産物流通体制の実現
北海道の海域特性を反映した少数魚種大量生産型の漁業生産構造を変えることは基本的に不可能である。しかし、資源管理型漁業の浸透とともに量的には現状よりも減少することが想定されることから、より高い付加価値を付けることが求められることとなる。
一方で、沿岸の磯根資源などの高価格魚種については、さらに高い質を求められることとなり、消費者ニーズに対応した量と質を兼ね備えた水産物流通体制を漁業者・漁協自らが実現していくことが想定される。
?C研究開発の重要性の高まり
サケ・マスのふ化放流技術の開発、ホタテガイ養殖技術の開発、コンブ促成栽培技術の開発が北海道漁業の生産構造を大きく変えたように、また、加工分野ではスケトウダラすり身技術の開発が水産加工のみならず漁業まで大きく変えたように、さらにはイカの加工技術で一大加工拠点を築いた函館のように、研究開発は水産業の新たな展開を可能にするものである。このため、現状でも水産業に係る技術開発は重要であるものの、将来的にはその役割がますます重要となっていると想定される。
?D国産水産物の重要性の高まり
発展途上国を中心として人口が大幅に増加すると予想され、水産物の輸入が困難になること

 

 

 

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